寒かった冬がようやく遠のき、
あたたかな光がまぶしかった4月某日。
たくさんの花と笑顔に囲まれたWedding Partyがおこなわれました。
今回の会場は、二子玉川にあるフォトスタジオと併設するレストランnaturam。
エシカルウェディングの考えに共感してくれ、これまでにも一緒にウェディングを作り上げてきたWalk in Beautyにとって大切な場所です。


朝一番に会場に届いたのは、春を感じさせる菜の花や、ふんわりボリューミーなビバーナムステリーレなどのみずみずしいお花たち。
「オーガニックフラワー」といわれるこれらのお花は、農薬を使用せずに栽培されています。


お花を届けてくれたのは川崎市麻生区のお花農家、吉垣さん。
80年ものあいだ代々続いてきた花農家を、ご自分の代で無農薬栽培に切り替えたのは「未来に続く、次の世代のため」。
試行錯誤の上でようやく生まれた「オーガニックフラワー」はどれも、この季節に咲くべくして咲いた、力強いお花たちです。


そんな色とりどりのお花は、リユースまたはリサイクルガラスで作られた瓶に生けて各テーブルへ。
高砂の上にはオリーブを垂らし、ベンチまわりには溢れんばかりの菜の花やムギを。
会場全体で「春のお花畑」を演出しました。



会場の準備も整ってきた頃、新郎新婦である俊介さんと志桜里さんが到着しました。
お二人ともなんだかそわそわ。
緊張した面持ちで、自作のウェルカムボードや写真などを飾っていきます。


福祉の夜間学校で知り合ったというお二人。ニコニコと笑い合うお姿からは、普段から相手に寄り添う優しいお人柄が伺えます。
派手な結婚式ではなく、大切な人たちと過ごす穏やかなパーティーを望まれていたお二人は、フェアトレードのウェディングドレスをきっかけに、Walk in Beautyを見つけてくださいました。
「初めてエシカルウェディングを知って、こんな結婚式だったらやりたいと思ったんです」

「エシカルウェディング」と一言で言っても、その表現方法は新郎新婦によってさまざまです。
エシカルを表には出さずさりげないテーマにしたい、部分的にエシカルを取り入れたい、などの新郎新婦の思いに寄り添いながら、一緒に「私たちのエシカルウェディング」を形作っていきます。
今回の新郎新婦は、エシカルを知るうちに「ウェディングをとおして、エシカルや関わる人たちのことをちゃんと紹介したい」という強い思いを持っているのが印象的でした。
そんなお二人が用意したのはエシカルウェディングを紹介するパネル。
今回のウェディングに取り入れたエシカルアイテムを紹介し、それが生産者の幸せにつながっていることを丁寧に説明したパネルは、俊介さんの手作りです。
体調がすぐれず、パネルづくりを諦めていた新婦・志桜里さんの分まで、寝る間を惜しんで作ったといいます。

「最初は、志桜里さんがしたいことを叶えてあげたいと思っていたんです。でもエシカルウェディングを知っていくうちに、こんなに素晴らしいことはちゃんと伝えたい、と思うようになりました」
打ち合わせの段階から、エシカルなウェディングがしたいと話す志桜里さんのことを、隣で微笑みながら見守っていた俊介さん。
到着したゲストがパネルを読んでいたことを伝えたときの「うれしいな」と笑う笑顔はやさしく、愛が溢れるようでした。

会場装飾が整ったら、次は今日の主役である新郎新婦の番です。
志桜里さんがこの日のために選んだのは、胸元からスカートにかけての刺繍が美しい、バングラデシュからやってきた手織りのドレス。
フェアトレードのコットンシルクがふんわりと舞い、背中が大きく開いた大胆なデザインでも柔らかい印象です。
ドレスを選ぶ際、その背景や職人のストーリーに聞き入ってくれたお二人の真剣な眼差し、運命の一枚に出会ったときの嬉しそうな表情。
それを見て、私たちは「このお二人のウェディングをすばらしいものにしたい」と思ったことを思い出しました。

開いた首元を飾るのは、宮城県石巻市でつくられたコットンパールのアクセサリーです。
東日本大震災で被災したママたちの居場所づくりとしてスタートしたAmanecerのネックレスとイヤリング。コットンパールのやさしい輝きはウェディングドレスとよく似合い、お互いを引き立ててくれます。

どこの誰の手によって作られたものなのかを知り、つくった人々に想いを馳せる。
エシカルの要素でもあるトレーサビリティは、新郎のスーツにも。
オーダーメイドで仕立てたスーツは、日本の裏側、アルゼンチンの羊毛牧場からインドの紡績工場を経て、日本各地の職人の手で仕立てられたものです。
そして新郎の胸元には、新婦の髪飾りやブーケとおそろいのブートニア。
自然な黄緑色が濃紺のジャケットに映え、いよいよウェディングが始まるんだという感じ。ここで使われているドライフラワーは、生花としての役目を終えた花をドライフラワーにした「リメイクフラワー」や、就労支援として福祉作業所の方々が作ったもの。
Walk in Beautyのスタート当時から、ともに色々なチャレンジをさせていただいているPacosがアレンジをしてくれました。
志桜里さんとは、一緒にアトリエを訪問していました。
そのときの、色とりどりのドライフラワーに囲まれた、嬉しそうな志桜里さんの顔が忘れられません。


準備を終えたお二人が向かうのは、親族会の会場です。
大切な家族へ、今日だからこそ伝えたいことをしたためたメモを片手に、腕を組み歩くお二人。
これから、新郎新婦としての1日が始まります。


